リーダーです。
黄金週間、皆様、如何お過ごしでしたか?
仕事の方、家族サービスの方、英気を養われた方、いらっしゃいましょうが、私はと言うと、所属バンド「fujico overdrive」の次回作の録音に御座いました。
(惨劇の図)
天候が崩れる土日に録音しようかな、それまでは散歩して楽しもうかな、と思っていたのですが、天気が悪い日に、誰も聞く人のいないデジタル産業廃棄物の作成なんぞしていたら心身病む事必至、せめて天気が良い日に、と思い3日から取り掛かった訳です。
とは言え、普段より短めな7~8キロの散歩をし、散歩後に取り掛かった訳ですが、なんでしょうなぁ・・・・仕事よりよっぽどやりたくねぇw。
「詠み人知らず」なんて言葉が御座いますが、「聴く人居らず」なんてものを製作する作業・・・・いや、人生は無駄の連続、寧ろ意味ある人生なんざ後付けで意味付けしなきゃ皆無、と思っているワタクシですから、無駄な作業をするシーシュポスな己を受け入れ難い、なんて事じゃなく、「記録する」と言う作業が面倒なのですよ、えぇ。
SNSで承認欲求を満たすとか、そしてその為に「盛る」とか、シーシュポスより不条理な作業に思うワタクシ。そうは言っても、いざ記録するとなるとどうしても上手くやろうと、見栄え良くしようと思ってしまう。
「記録」と言うのが「捏造」になっているのが道理とは如何か。記録と言うのは記憶の補完の道具ではないのか、と己を正し、これからは一発録りしかせぬ、などやってみても、舗装された地獄への道一直線なのは自明の理。
そんな訳で、なんとか自分を納得させて録音を開始したのである。
さて、昨今の録音と言うと、インターフェイス経由でDAWで・・・・かと思いますが、ワタクシは依然MTRを使用。
それなりに高価なインターフェイスも、評価の高いDAWソフトであるCUBASEの上位機種も所有しているのに何故に旧態依然なMTRかと言うと、簡単に言うとDAWソフトよりよっぽど使い易いから、である。
慣れてしまえばDAWソフトの方が色々と面倒さはないのかも知れないが、なんせこのZOOMのMTRは直感的に使えて良い。説明書なんぞ、ちょいとパラパラ捲ればすぐ使える。
で、今回の録音で、アンプの音をマイクで拾う、手持ちのアンプ・シミュレーターを彼是使う、をしようかと思って試行錯誤した結果、「シミュレーター含むアンプを使わない」と言う選択をしてみたのである。
かの田中一郎氏が、とある動画で「音ってのはコップの水をイメージするべし。彼是突っ込むと水が溢れて追加した意味がなくなる(=飽和するだけで聞こえない)。どの音を聞かせるかをイメージすべし(大意)」と仰っていて、甚く感銘を受けたのであるが、アンプによる倍音の増幅は、このバンドでの僕の立ち位置的に要らぬのではないかと思ったのである。
ドラムのTakayuki君もそうだし、ベースの大先生、相方ギタリストのビクシーは、割かし低域寄りな倍音多い音を出すので、ミックスダウンの時にはどのパートの低域を押さえるか、に四苦八苦するのだが、かく言うワタクシのギターもそれなりに倍音が出ていて、なんとも圧迫感がある音になっている。
であればいっその事、それを出来る限り排除してみようと思い、今回「アンプは使わない」との決断をしたのである。
その決断をしたのは、かのThe Rolling Stonesの名曲「Jampin’ Jack Flash」のギターが実はアコギで録音されていて(正確にはカセットレコーダーに録音したものを歪ませて再生し、その音をモニタースピーカーから出して拾った音を使った、とか)、アンプなしで録音して、空気感が欲しければ同様の事をしてみるのも面白かろう、と思ったからである。
加えて、今回のベースの大先生の音が、結構アタックの強いブリブリとした音で、それに合わせるならどんな音が良いかなぁ?と試していた際、アンプを切った時の音が一番しっくり来た、と言うのもある。
「ギターの録音にはアンプ(シミュレーター)を使うべし。それ、常識」と指摘されるかもだが、ワタクシの様な素人に常識なんぞ通用する筈もない。
とは言え、何かしら音を纏める、奥行きを出す効果があるペダルが必要だなぁ、と、エフェクター・ラックを物色していて発見したのがこちら。
One ControlのLittle Green Emphaser。帯域を弄れるエンハンサー。
アンプ不使用により音が平面的になりそう(と言うかなっちゃってた)ので、エンハンサーで音を立体的にし、且つ奥行きを持たせられると言うこのペダル、使ってみれば相当に良い。と言うかとても良い。
反時計回りに回すに連れ低域寄りの帯域となり、特にエフェクターを使った時に、直感的に「この辺の音を出したい(押さえたい)」が出来る優れもの。エンハンス効果で音がスッキリとしつつ、それでいて特徴的な奥行きが感じられる。うん、持ってて良かった。
で、実際試してみた結果は・・・・うん、頗る宜しい。
アンプ、アンプ・シミュレーターを使っていた時は、如何にして音を纏めるか、低域を押さえるか、に試行錯誤があったし、低域が強過ぎて録音で使うにはキツイな、と思うペダルも多かったが、もう、使いたい放題である。
それでいて、全体的に箱鳴り感があって、そしてダーティな感じで、うん、この質感、好きである。鮮明じゃなく、何と言うか、クリーン・トーンが出ないチューブアンプな質感があって、アンプ使っていないのに、なんか、アンプの生々しさがあって良いなぁと思った。
歪みペダルは下記を使用。
OD2、TS808のモディファイ品、Mini Bender ,FFM2。その他m1曲だけAnalog.manモディファイのSD-1も使った。
OD2はバッキング、TS808はリフとソロで使い分け、Mini Benderはファズの質感が欲しい時、FFM2はクリーンアップの音が欲しい時、みたいな使い方。アンプを通さないので、ファズを使っても低域が過度とならずで、ファズのざらついた質感を得ながらも使い易い。ファズの低域の強さ、音が玉になる感じが欲しいって時にはLittle Green Emphaserを反時計回りに前回にすればある程度得られる。
FFM2は録音に使用したギター(Casino)でクリーン・アップ(ギターのボリュームを下げてクリーン・トーンを作る)で使った場合も良い感じで、リアじゃなくても良い感じのクリーン・トーンが得られた(アンプ通したら難しいかと思うけど)。太いトーンならフロントを、鋭いトーンならリアを、と使い分け。これは相当に楽しかった。FFM2、良いなぁ・・・・。
それにしても・・・・Mini Benderは本当に良いファズだと思う。ファズ好きなら心から試して頂きたい逸品である。Tone Bender系ならMini Bender、Fuzz Face系ならFFM2があれば個人的に満足出来る。Big Muff系は、現在注文中のキマイラギターズさんのGinger Turboで満足出来ると思う。
これ、使いたかったなぁ・・・・今回の録音で使いたい曲が複数あった。
そしてDr.LakeのTS808は、TS808のモディファイ品の傑作だと思う。TS系ペダルを使おうと手持ちのTS系いくつか試したけど結局これが一番良かった。TS系はこれで良いかな、と改めて思った次第。
コンプはNature SoundさんのVRC。拘ってこれにした、と言う訳ではなく、エフェクター・ラックの一番手前にあったから・・・・w。
なんだかんだで録音の際には使っているVRC。パキッとしたサウンドではないがナチュラルと言う訳でもない。でも、良いんだよな、これ。
他、とても活躍してくれたのが下記。
BOSSのPF-2、フェイザー、です。
PH-1にはプレミアが相当についていますが、これはBOSSのディスコンの中では廉価も、滅茶苦茶良いと思う。プレミア価格が付いている前身機種のPH-1はあっさりし過ぎて個人的には好みじゃなく、Ph-1rは試した事が無いが、4段、12段の選択が可能なこのフェイザーは、MXRのPhase45の様に低域がスッキリ(Phase45は2段だけど)。本当はPhase45を使おうかなと思ったけど、エフェクター・ラックを探るのが面倒で此方を試したら凄く良かった。
クリーンでも歪ませても、流麗なフェイズ・サウンドがとても気持ち良く、外しては入れてを繰り返した。普段バンドではフェイザー使わないけど、フェイザー使うなら使うと思う。
VRCも、PH-2も、「これが良い!」と言うより「これで良い」と言うペダル。そんなペダルは中々に貴重で実は代替品が無かったり、する。
コーラスとディレイは下記。
BOSSのCE-2、そしてMXRのCarbon Copy。
銀螺子仕様にプレミアが付くBOSSのディスコンだが、CE-2は黒螺子CE-2表記が大きいこの時期のCE-2こそベスト、と個人的には思っている(中域がシフトアップされるのでそこに使い難さを覚える方も居そうだが僕は大好き)。
コーラスとディレイはARIONを使おうかな、と思ったが、ノイズが大きいので上記に。
結構小音量で弾いていたので気付かなかったが、もう少しコーラスもディレイも抑えて良かったようにも思った。これは失敗だったかもなぁ。
3日に全て終わったが、翌4日に下記で少し効果音を追加。
Slow Motionでボリューム奏法、DD-8で逆回転風のサウンドを効果音に。入れても入れなくても良かった様な気もする・・・・メンバーに是々非々を聞いて決めようか。メンバーに共有する前に没にするかもだけど。
後段にがっつりコンプをかまして平面な音にしつつ、少しばかり歪ませて、何と言うか、ダーティなシンセサウンドっぽいニュアンスに。
軽くミックスして録音したサウンドを確認してみれば、全体的になんとも生々しい音で、なんか、良い。不満点も多いし、古臭い音だが、こういう質感も良いんじゃなかろうか。
己のギターの録音を済ませ、他は散歩したり家人と外食したりして・・・・まぁ、普段通りに過ごす。
欲しいものがあって訪れたパーツランドさんが連休中は閉まっててがっかりしたり・・・・
天気の良い神田川の風景に見惚れたり・・・・
燕を見て季節を感じたり・・・・
北海道物産展で郷愁を刺激されたり・・・・
故郷小樽のソウルフードを堪能したり・・・・
三木楽器さんの東京進出に小躍りしたり・・・・
久し振りに宮地楽器さん訪れてみたり・・・・
ワテラスタワーの日差しに見惚れたり・・・・
まぁ、そんな風に、好きな事としなきゃ行けない事をし、早春賦が全く馴染まなくなった夏日の帝都の春を堪能した黄金週間なのである。
そしてこの黄金週間の快挙と言えば・・・・ワタクシは機材を一切買わなかったのである。
5/3~5/5の間、毎日楽器屋巡りをした訳であるが、何一つ買わなかったのである。これは異常事態と言って良かろう。
先週から気になっているTS808のナローケースものは触手が伸びそうになったし、CE-3のモディファイ品は試し弾きまでしたが、ONにした際に音量が下がる個人的にNGな仕様で(ボリュームが追加されていたのになぁ)、結局何も買わず終い。
と言いつつ、ちょっと欲しいMustangがありまして・・・・いや、3.1kgと軽いんですよ、その個体。それを差し引いても、最近、Mustangがちょっと欲しいんだよなぁ・・・・あの、チャキチャキした音、バンドに合いそうな気がするんだよなぁ・・・・。
5/6は散歩は我慢のスタジオで歌入れ。
(孤独な中年)
天気が良かったので散歩に行きたかったが、5/3~5/5の3日間でで35km超散歩し、散々楽器屋巡りもしたので、今日は歌入れに使おうかと。
ビクシーのギター録音が未だなので、仮歌録り、として近所のスタジオで3時間で4曲。仮歌録りだけど、本番で使えたら儲けもの、と言う邪な気持ちが無かった訳でもない。
僕は己の声も己の歌い回しも大嫌いで、出来ればAIなんかで何とかならぬものか、と心から思っている。いや、本当に嫌で堪らない。
AIと言えば、最近AIが作成したThe Beatlesの曲を聞いて「此処まで進歩しているのか」と驚いた。
Magical Mystery Tourの頃の未発表曲、と言われても信じてしまいそう・・・・Ringo Starrのドラムのバシャバシャ感が無いのが残念であるが、声、メロディ、アレンジ感、なんか、それっぽい。
そう遠くない将来、いや、もしかしたら既に今もかも、だけど、コンピューターに飼い慣らされる時代って、起こりえるんだろうなぁ、うん。生活の糧を齎すに重要な存在としての畏怖から、古代人が自然を崇めた様に、コンピューターを崇める宗教とか生まれるかもだな、うん。
おっと、閑話休題。
そんな訳で歌入れをしたのですが、本日はエフェクトはリミッターしか使わず。
上記のAI作成の曲を聞いて、寧ろ生々しい質感、を出したくて、音が割れぬ処理のみ。歌に自信が無いのにこういう事をして、ワタクシの自虐性は止まらない訳だ。
お世話になったスタジオのほっこり写真。
親切なスタジオだなぁ、うん。部屋で飲食不可なのでラウンジで何か飲みたくなったら自動販売機が無くなってたのは残念。何か事情があったんだろうけど・・・・。
3時間、歌って、聴き直して落ち込んでまた歌って、を繰り返せば疲労困憊。なんか甘味が欲しくなり、家人が時々所望するクレープ屋さんに立ち寄り糖分補給。
全部食べるのは無理かなぁ、と思っていたら家人が食した。・・・・「あー、丁度食べたかった。何で分かったの?」と言われて渡してしまった・・・・なんか違う。
軽くミックスダウンをしメンバーに共有。ミックスダウンと言う作業が残っているし、メンバーとやり取りしているデータに支障があって追加の面倒事の対応もあったが、まぁ、今出来る事を連休中に終わらせられて良かった、うん。
連休最終日の日曜日は雨模様。
連休の喧騒が嘘の様なしっとりと落ち着いた日曜日に、家人が花卉に挿した芍薬だけが何とも賑やか。
芍薬かぁ・・・・そんな季節なんだねぇ・・・・。
そんな日曜日、何をするかと言いますと、Jaguarなんですの。
(日本製Fenderのボディ、米国製Fenderのネックのハイブリッドな改造Jaguar)
(Squier製のJaguarの改造品)
先に「Mustangが欲しい」と書かせて頂きましたが、ミディアムスケールのソリッドギターのお気に入りが欲しいのですよ(Jaguar、Mustangはショートスケールとの見解も御座いますが、ミディアムスケールとの認識で書かせて頂きます)。
ソリッドギターのお気に入りには、PP4-380が御座いますが、スケールがロングスケールとミディアムスケールの中間で、ヘッドが遠いっちゃあ遠い。
両方共に気に入ってはいるのですが、FenderのJaguarはネックのシェイプが僕には厚過ぎて好きじゃなくて、Squier製のJaguarは3.5㎏と言う重量が僕には重過ぎて手が伸びず、と言う、帯に短し襷に長し、と言うね・・・・そんなんなんですわ。
で、以前から「Squier製のJaguarのネックをFenderのJaguarに移植したらどうなんだろう?」と思ってましてね。うん、Squier製のJaguarのネックシェイプ、凄く好きだし。
メインはお気に入りのCasinoがあるし、ソリッドギターのお気に入りはPP4-380あるし、遊んで良かろうとこの日曜日にやろうかな・・・・と思ったのですが、結論から書きますと止めちゃいましたw。
と言うのがですねぇ、交換前の音の比較を・・・・と思って両方のギターを弾いていたのですが、それぞれ魅力的な音でして、このままで良いじゃないか、と。
特にFenderのJaguarは、P-90構造のピックアップのJaguarにしては太い感じと、ザグリをした事でか空気感が出た事で、ジャキっとしながらも細過ぎないあの感じ、凄く好きだったのを思い出しましてね。
うん、こう言う音、好きなんだよな・・・・。
ネックシェイプは、暫く弾くと慣れる。いや、正直に書くと「慣れるけど好みじゃない」のは確か。
と、此処で悩むはMustang。さて、どうしましょうかねぇ・・・・いや、昔持ってたよなぁ・・・・でも、買っても使わないだろうなぁ・・・・と言う事でお見送りの巻。これから暫くはCasinoで。
そんな風にして過ごした連休に御座いました。さて、仕事だ仕事っ。