リーダー

リーダーです。

と言う訳で本日紹介させて頂きますエフェクターはこちら。

IMG_6458

はい、マキノ工房さんのScylla X。初期Centaurの再現を目標として作られたペダルとの事です。

Scyllaには幾つかバージョンがある様で、こちらはXの名を冠されております。バージョンのスペック、サウンドの差異はこのペダルしか試した事がないので分かりません。

個人工房のエフェクター。此処数年避ける様になって来てまして、理由はと言うと、拘りのパーツを以て作られているのは良いかと思うのですが、そのパーツがなくなると当然製造は出来なくなる訳で、入手したものがどれだけ気に入っていても、現品限りとなっちゃうのが嫌だなぁと。壊れたらそれまで、ってのはね、どうにもね・・・・。

同様の趣旨で限定製品も手を出さぬ様にしているのですが、こちらは30台限定品ながら、思い切って買ってみました。

思い切ってと言うはそのお値段も、で、私史上最も高額のエフェクターです。手持ちのエフェクターで、現在の価格がこれより高価な物はありますが、新品としては最も高価。これより高価なエフェクターは買わぬだろうと思っていたが・・・・。

で、最初に申し上げておきますが、初期Centaurとの比較は出来ませんし致しませんので予めご了承下さい。もっと突っ込んで申し上げますと、真空管アンプを歪ませたサウンドに然程素晴らしさを感じないワタクシですので、真空管アンプをドライブさせるブースターと言う意味で重宝されるCentaurの評価が出来るとも思えません。

と言うのは、
Centaurは絵無しゴールドを1台持っているだけで、所謂「FAX ONLY」は試した事もなく総合的な比較は出来ませんし、そもそもCentaurを恒常的に使っていた事もないですし、模したペダルはこれまで幾つか試しましたが、それぞれに個性があり、好きなのも幾つかあるけど、そもそも手持ちのCentaurですら「これがないと困る」ってレベルのものはなく、試した限りにおいて、Centaurは僕には要らないんだろうなーと言う「苦手意識」すら持っております。

で、そんなワタクシがこの「初期Centaurの再現」を謳ったペダルを購入した動機は複数ありますが、最大の動機はバッファの素晴らしさ、です。

良質なバッファ付きのペダルの謳い文句に「繋ぐだけで音が太くなる」なんてのをよく見掛けますが、体感出来たのは正直殆ど無い。Providenceのは煌びやかになる感じで効果を感じられたが、暴れ過ぎな感じもあり、効果は明瞭だが使い難い、と思ってしまった。

で、このScylla X。もう単純に「凄い」と思った。いや違うな。正確に言うと「僕が欲しいバッファってこんな感じなのよ!」です。うん、そうだ。

音が太くなるという感じではなく、音を明瞭にし、且つバランス良く音を纏めてくれるバッファとして「凄い良い!」と思いました。試し弾きさせて頂いている時は、ペダルをOFFにして試す時間の方が長かったほどで・・・・。

手持ちのCentaur対比でもそれは顕著で、Centaurはよく言えば「音が太い」とも言えますが、換言すると「音の輪郭が不明瞭」とも思え、確かに真空管アンプをドライブさせた時の刺々しさとは相性がいいんだろうな、と思う次第。

一方Scylla Xは、Centaurほど「不明瞭」ではなく、Providenceのバッファほど「明瞭」じゃないと言う印象。僕が欲しい感じのバッファだと思いました。

僕の感性と近しい人、いや、こんなポンコツ・ギター弾きと感性が近いしい人がいたとしても「俺がそれです!」とは言い難かろうと思いますが・・・・。

で、ONにした印象はと言うと、これは「ハムバッカー使いが欲しいCentaur系のペダルじゃないか?」と思いました。

バッファの明瞭さを維持しつつ、トーンの効きは凄くあり、セッティング次第ですが、トーンが14時以降だとハイが凄く出る印象。シングルコイルなら、12時迄で纏められるかと。

加えて、Centaur系らしくローは適度に纏められており、明瞭さがありしっかり抜けてくる。これは凄く使い勝手が良いと思う。

と言うのは、アンプって、(イコライザーの設定が同じなら)「音量を上げる=相対的にローの方が出る」と思うのですが、部屋や会場の大きさで音量はそれなりに変わりましょうが、音量を上げなくてはならない場面でもローが過度にならず、音量を下げたとしても、その明瞭さからトーンを絞っても抜けてくる感じがあり、これがあると音作りはし易かろうと。

強いて弱点を言えば、アンプをドライブさせると言う目的で使うには、ちょっと明瞭過ぎると感じる人もいるかも知れない。トーンを絞れば解決するが、その可変幅を超えて調整したいと思う人がいたら使い難かろうと。

歪み量は多くなく、シングルコイルならそんなに歪まない一方、これの前段に低域が強いペダル、例えばファズなんかを繋ぐと凄く好みなサウンドが得られる(ゲート感が強いファズだと今一だったけど)。

ファズ独特のブーミーな低域を纏め、それでいてファズらしいざらついた質感を残すも煌びやかで好きである。ファズをトレブルブースターでブーストした質感に近いが、それよりマイルドで、バンドで使うならこっちだろうなぁと。

以上です。

エフェクターには流行り廃りがあり、今は持て囃されているCentaurですが、それが一段落したとしても、このペダルの持つ特性は求める人は熱心に求められるのではないかと思った逸品でした。

しかし・・・・凄く良いなと思うペダルに出会えるのは嬉しいが、バンド活動がないとバンドで試せない訳で、それはそれでストレスだなぁ・・・・。