
リーダーです。
さて、本日紹介させて頂きますのはこちら。

はい、Vemuramのオーバードライブ、Jan Rayのレビューです。
2014年で、個人的に一番気に成ったペダルで、購入までは暫く悩みましたが、結局購入。
シグナチュアのモデルもありますが、これは通常品です。
このペダルは、レビューを書くのが非常に難しいペダルです。
何度か書いて、消して書き直して、を繰り返す始末・・・・w。
先ずは、動画をば。
上記動画をご覧になってどの様な印象を持たれるか、は、人それぞれに思いますが、僕自身は、一番上の動画、Telecasterでの動画を見て「甘くて倍音豊かなペダルだなぁ」との印象を持ち、入手してからもその印象は変わりませんでした。
コントロールは左上から時計回りに、ボリューム、ゲイン、トレブル、ベース。
ボリュームは可也大き目で、対してゲインは抑え気味。
僕は余り歪ませる方では無いが、それでもゲインはフルじゃないと物足りない。
ゲインをフルにすると、ボリュームは8時位じゃないとON-OFFで音量に差異が出て来る。
倍音が非常に多いペダルで、ローはタイトでは無く、ハイは結構出ている。
ベース、トレブルのイコライザーが付いているが、他のペダルのイコライジングとはちょいと異なり、絞ればタイトになる、上げれば鋭くなる、と言うのとはちょっと違って、倍音、ゲインにも影響を与える。
非常にアンプ的なペダルであり、立体的なサウンドである。
嫌がる家人を捕まえて、他のペダルと比較しつつ聞かせても同じ様な印象を言われたので、僕の耳にだけそう感じたのではないだろう。
補足すると、「アンプ的」と言うのはチューブアンプを弄っている様な操作性、アンプを歪ませてベースを上げた時のゲインと倍音が連動するサウンドと、ペダルのイコライジングでベースを上げた時の、単純にベースがブーストされるサウンドの違いであり、「立体的」と言うのは、比較したペダルとの倍音の差異であろうかと思う。
シンコー・ミュージックの「THE EFFECTOR BOOK Vol.20」で開発者のインタビューと製品案内が乗っているが、そこに記載がある様に、「ゲインが上がらずボリュームが上がる」感じ、それによりアンプ自体が震える様に響くニュアンスが、このペダルにはある。
一方で、その倍音故に「解像度が悪い」と僕は第一印象で感じ、解像度の悪さは低域の倍音とミックス時に得た経験則で下げてみると、低音の歪みが物足りなく、ならばと前段でゲイン・ブースト(KeeleyのJava Boostをトーンを絞って)してみると、Jan Rayの魅力たる倍音が消され、なんとも使い難い。
筐体上部にゲインの調整が出来るトリマーがあり、ゲインを調整する=倍音も調整する事で、タイトな低音を出す事も可能。
これは、推測なんだけど、回路が分からないので自信が無いのですが「インプット・ゲイン」の調整の様に思います。違うかな。
倍音が多いペダル故、ダイナミックレンジが広いギター、シングル・コイルのギターに合うペダルに思います。筐体上部のトリマーである程度調整は可能ですが、シングル・コイル、若しくはミニ・ハムバッカーをマウントしたギターに凄く合うのではなかろうか、と。
僕自身は、「ボーカル兼ギター」の割合が多く、「ボーカル時はコードをジャカジャカ弾く」役割を多く担っているので、このペダルは主張が大き過ぎるかなと思い、「僕のサウンド、元気過ぎないか?」とメンバーに聞いた所、ドラムのTakayuki君からは「それ位出てて良いと思う」との意見があったので、まぁ良いか、と。
ベースの大先生からは「前半は凄く良い音だったけど後半はそうでも無かった」と言われたが、後半はベースのイコライジングを可也削ったので、気持ち良い倍音が消えたからであろう。
録音物を聞き直すと、確かに前半は良い音だった。サウンド・メイクに悩んだ時はリズム隊、特にドラマーの意見に従うが正しい。一人後ろで聞いているドラマーが、多分一番客観的に音を聞いている(前にも書いた記憶がある)。
で、このペダルですけど、好きか嫌いか、主観で良いか悪いかを問われたら、本当に素晴らしいペダルに思います。過去使用して来たペダルの中で、五指に入る。
以前、「倍音の調整が出来るペダルならSmoky Signal AudioのTubelessの方が良いチューニングがされていると思う」と書いたが、その意見は今も変わらない。倍音の調整が一つのノブで出来る操作性も、Tubelessが勝ると思う。
一方で、Jan Rayには、Tubeless以上の豊かな倍音があり、そのサウンドは大変に心地良く、「バンドの中でギタリストが一人」なんて場合には、この上なく頼りになるペダルである。
Tubelessが入手困難な現時点に於いて、「豊かな倍音を持ち、その調整が出来るペダル」としては、僕が試した中で一番お勧めなペダルである。
トモ藤田さんのシグナチュアは、ローはもっとタイトでゲインは少な目だった。僕が所有する通常品より、ローは好ましかったがゲインは不足を感じた。
残念、と言うか、「使い難いなぁ」と感じたのは、先にもちらりと書かせて頂きましたが、その前後のペダルがJan Rayの影響を物凄く受けちゃいまして、トレブル・ブースター(Java Boost)でのゲインアップではJan Rayの魅力たる倍音を消してしまい、後段に繋いだコーラス(CE-2)はその中域が邪魔だったりと、お気に入りの機材の一新が必要となる位、「灰汁が強いペダル」である事。
その一方、ハイが出るMXRのフェイザー(EVH90 Phase90)と、煌びやかなクリーン・ブースターであるMXRののmicro amp +との相性は素晴らしく、特定の帯域をブーストするペダルとの相性は宜しくない様にも思う。アンプを歪ませて、ループしないで空間系ペダルを使う気持ち悪さに近い感じが、ある。
ブラス製の筐体は可也重く、思いペダルを好まない僕にはマイナスだが、シックな見た目は「日経大人のOFF」で紹介される様な外見(僕は余り好きじゃないけどw)。
自社開発したコンデンサーを使ったり、スイッチの端子に金メッキを施したりと、大変に拘りを持った作りのペダルであり、一度お試し頂くのも宜しいかと。
「ジャキッとしてて、タイトなハードロックのサウンド」には、これで歪ませるのは合わないかと思いますが、「もう少し倍音が欲しいな」と言う時には、その手助けにもなるし、使い道が多いペダルに思います。
シンコー・ミュージックの「THE EFFECTOR BOOK Vol.20」に記載された開発者のインタビューでは、「Jan Rayは真空管アンプとの併用に拘った」と記載がありますが、ジャズ・コーラスでも、ミッドを下げ、ブライト・スイッチをONにすると、まあ魅力的なサウンドが出ました。
僕には無縁のピッキング・ニュアンスも素晴らしいものがあります。フジコ・オーバードライブと言うバンドでは合いませんが、ギターのボリュームを絞り、Jan Rayのゲインをある程度上げたクリーン・トーンも、魅力的なサウンドです。
で、ですね・・・・
はい、一部ネットでお話があります、Timmyとの共通性ですが、僕が両方を試す限りは、「Jan RayはTimmyに似たサウンドを出す事も出来る」と言うのが結論。
上記動画は過去にも貼り付け、その際「ちょっと悪意を感じる」と書きましたが、「Timmyとの類似性を主張する動画を意図的に作った」様に思えたが故です。
僕のTimmyは、スイッチが付いていない時期の物で、現行品のTimmyとの比較ではありませんが、僕にはJan Rayの方が魅力を感じるサウンドを得られました。
「Timmyをパクって金儲けしやがって」との、ネット清教徒なお怒りをお持ちの方は、Tube Screamerを模したペダルが数多くある現状をどう思ってらっしゃるんだろうなぁ・・・・。
以上です。
後段のコーラス、 前段のゲイン・ブースターを試行錯誤中ですので、追記があると思います。
又、敢えて書く必要も無いかと思いますが、上記レビューは「私見」ですので宜しくお願いします。
(2015年11月追記)
10ヵ月程使用してみたので、その感想を追記します。
現時点では、このペダルを「歪みペダル」として使ってはいません。歪みペダルのゲイン・ブースター、若しくは、常時ONにしてこのペダルの特徴であるふくよかな音色を作っての使用、が僕の使い方です。
歪み量が少ないので、歪みペダルとしては、僕の様に「アンプはクリーン&歪みはエフェクターで」って人にはちょっと無理があるかなと。
僕は、BOSSのOD-1やSD-1の様な、ハイミッドが持ち上がり、軽いサウンドの歪みペダルのゲインブースターとして使っています。
併用する事により、密度が濃い、ゲインの高いサウンドが得られます。
また、イコライザーが付いているので、OD-1、SD-1の低域なんかを補正するのにも良いです。
単体での使用なら、「アンプをゲインブーストする」との意図での使用が一番かと。前段にゲインブースターをかます事で物足りないゲイン量を調整するのも良いです(前段のブースターの特色が出易いので、ブースターは選ぶ必要があるかと思います)。
僕の使い方(Jan Ray→OD-1)はイレギュラーな使い方に思いますが、魅力的なサウンドである事は間違いないです。
2次元的なトランジスタ・アンプのサウンドに、立体感を持たせる役目としても使えます。キャビネットが揺れる感じ(?)が演出出来ます。
私見ですが、このペダルの位置付けは、「プリアンプ」若しくは「積極的に音質を補正するブースター」かと。
ピッキングへの追従性も優秀ですので、ピッキング・ニュアンスで勝負する名うてのギタリストさんなんかにもお勧め。
COT50の様に「どんなアンプでもプレキシの音に!」ってなシミュレーター的なペダルでは無く、サウンドの不満を補正するペダルです。
腕に自信のある方なら、ちょっとしたセッションに、ギターとJan Rayだけってのも格好良い。ピッキング・ニュアンス、ボリュームの調整で、クリーン、クランチ、アンプの設定によっては歪ませたサウンド、が、演出出来る。
ストラトの様に、弾きながらボリューム操作がし易いギターなんかにはより良いでしょう。
「このペダルで何が出来るか」と言うより「このペダルで何をするか」を意識して導入されると、欠かせない一品になるかと思います。
諄いようですが、「単体で歪ませたい」「ザクザクとしたハイゲインが出したい」って方には積極的にお勧めしません。
以上です。
又何かあれば追記します。